この章の学習目標
読み終えたら、できること。
- 「人の情報と作品の権利を分ける」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「使える根拠を確かめる」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「公開後に広がる範囲を考える」の意味と理由を、具体例で説明できる
章内を一度に読まず、見出しごとに例を説明してから先へ進んでも大丈夫です。
この章の目次
WHY / なぜ学ぶ?
身近な「なぜ?」から。
文化祭のポスターに好きな画像を使い、友人の写真もSNSへ載せたい。何を確かめればよいでしょう。「ネットにある」「自分で撮った」「出典を書いた」という1つの理由だけでは判断できません。作品の利用条件と、人に関する情報の扱いを分けて確認する必要があります。
BIG PICTURE
この章の全体像をつかもう。
この章は大きく3つに分かれます。①人を識別する情報を必要な範囲で扱う、②作品の著作権や利用条件を確認する、③SNSでの公開・拡散の影響を考える、です。写真1枚にも撮影者の著作権と写った人のプライバシーなどが重なるので、別々に確認しましょう。
アプリ教材の単元原図
まず、図で全体像をつかもう。
図の見出しと、下の本文の見出しを対応させて読みましょう。原図には発展事項も含まれます。この章の確認範囲は本文と代表3問です。
アプリ教材の制作原図を加工せず掲載しています。図の文字コードの固定バイト数などは例で、方式により異なります。本文の条件と併せて確認しましょう。本文は2026年10月に整理したWeb用解説です。
THREE KEYS
まず押さえるのは、3つ。
章の細かい用語は、この3つの考え方に結び付けて読み進めましょう。
人の情報と作品の権利を分ける
著作権者から利用許可を得ても、写っている人が公開を望むとは限りません。逆に写った人が許可しても、他人の撮った写真の著作権は別です。
たとえば:「自分で撮った友人の写真」でも、公開範囲や名札の写り込みを確認します。
使える根拠を確かめる
利用許諾、適用されるライセンス、引用などの法律上の条件を区別します。「出典を書いた」は、あらゆる転載を許す万能の条件ではありません。
たとえば:批評に必要な一部を区別して引用する場合と、装飾のために画像を丸ごと転載する場合は違います。
公開後に広がる範囲を考える
限定共有のつもりでも、転送や画面保存で広がる場合があります。人気のある投稿や似た意見ばかりの集団を、社会全体の意見と同一視しません。
たとえば:投稿前に本人の希望・位置情報・公開先を確認し、疑わしい情報は拡散を止めます。
THINK WITH A DIAGRAM
図を読みながら、考え方を追う。
| 場面 | まず確認すること | それだけでは足りない理由 |
|---|---|---|
| 他人の写真を掲載 | 著作権者の許諾や利用条件 | 出所表示だけでは自由利用にならない |
| 自分で友人を撮影 | 写った本人の希望・公開範囲 | 撮影と公開の承諾は別 |
| 文章を引用 | 必要性・正当な範囲・区別・出所等 | 引用が主役になる構成などに注意 |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
1-4-1
個人情報の範囲
個人情報には、生存する特定の個人を識別できる情報や、個人識別符号が含まれる情報などがあります。氏名だけでなく、他の情報と容易に照合して本人が分かる場合にも注意します。法律上の個人識別符号は政令等で定められたものです。単なる整理券番号のすべてが該当するわけではなく、生体情報も法の基準に該当する符号との区別が必要です。
1-4-2
個人情報の適切な管理
集める前に目的を決め、必要な項目だけを収集します。名簿は閲覧できる人を限定し、公開フォルダに置かないようにします。不要になった情報の削除時期や、誤送信への対応も決めておきます。氏名を消しただけでは、学年・所属・写真などから本人が分かる場合があり、法律上の匿名加工情報になったとはいえません。
1-4-3
著作権と引用
著作権は、思想や感情を創作的に表現した著作物を保護します。Webで見つけた画像も、自由に転載できるとは限りません。引用には、公表された著作物を、公正な慣行に合い、引用の目的上正当な範囲で使うことが求められます。自分の説明と引用を明確に分け、主従関係や出所表示にも注意します。「出典を書けば何でもよい」「学校の課題なら一般公開も自由」とは考えません。
1-4-4
ライセンス(CCライセンス)
CCライセンスは権利者が再利用の条件を示す仕組みです。BYは表示、NCは非営利、NDは改変したものの共有を認めない条件、SAは改変物を同じ条件で共有する条件です。NDとSAを同時に含む標準CCライセンスはありません。利用するときは作品ごとのライセンスとバージョンを確認します。写真の肖像や個人情報など、著作権以外の権利が残る場合もあります。
1-4-5
肖像権・プライバシー
写真を撮った人の著作権と、写っている人の肖像・プライバシーへの配慮は別です。自分で撮った写真でも、本人が公開を望んでいるとは限りません。制服、名札、位置情報、背景から生活場所が分かることもあります。撮影の承諾と、SNSへの公開の承諾を同じものとして扱わないようにしましょう。
1-4-6
誹謗中傷・炎上
軽い冗談のつもりでも、相手の社会的評価や私生活を傷つける投稿になります。匿名なら責任を負わないわけではありません。拡散前に事実と意見を区別し、迷ったら投稿を止めます。被害に遭ったら、投稿日時やURLなどを記録し、信頼できる大人や相談窓口に相談しましょう。
1-4-7
フィルタバブル・エコーチェンバー
フィルタバブルは、情報の自動選別によって異なる意見に触れにくくなることです。エコーチェンバーは、似た意見の人同士で反復するうちに考えが強まる現象です。前者は選別の仕組み、後者は集団内の相互作用に注目しています。人気や共有数と、情報の正しさは分けて判断します。
重要語句を整理しよう。
| 語句 | 意味 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 個人情報 | 生存する個人を識別できる情報など、法が定める情報。 | 氏名を消しただけで対象外とは限らない。 |
| 個人識別符号 | 政令等で定められる、個人の識別に用いる符号。 | 単なる整理券番号のすべてが該当するわけではない。 |
| 著作物 | 思想や感情を創作的に表現したもの。 | アイデアそのものと表現を分ける。 |
| 引用 | 公表された著作物を、引用の目的上正当な範囲などの条件で利用すること。 | 出所表示だけであらゆる利用が認められるわけではない。 |
| CCライセンス | 権利者が再利用条件を示す仕組み。 | BY・NC・ND・SAなどの条件を確認。 |
| プライバシー | 私生活の情報などに関係する利益。 | 撮影者の著作権とは別に配慮する。 |
| フィルタバブル | 選別で異なる情報に触れにくくなる現象。 | 似た意見の相互強化とは着眼点が違う。 |
| エコーチェンバー | 似た意見の集団内で考えが反復・強化される現象。 | 社会全体の多数意見とは限らない。 |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
WORKED EXAMPLE
一緒に解く:手順と理由を確かめよう。
友人は「撮影してよい」と言いました。その写真を全員が見られるSNSへ載せてよいと決められますか。
- 撮影への了承と、公開への了承を分けます。
- 全員公開か、限定共有かで届く範囲が違います。
- 本人の希望、名札や背景・位置情報の写り込みを確認します。
- 撮影者が別にいるなら、その作品の利用条件も別途確認します。
| 確認対象 | 具体的な問い | 意味 |
|---|---|---|
| 作品 | 誰が撮影したか | 著作権の利用条件 |
| 人物 | 公開を望んでいるか | 肖像・プライバシーへの配慮 |
| 範囲 | 誰が見られるか | 届く相手と拡散の可能性 |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
撮影の了承だけでは一般公開の了承まで判断できません。本人と公開方法を確認しましょう。
ここで間違えやすい。
TRY IT YOURSELF
次は、自分の言葉で。
出典URLを書けば、他人の画像をどんな使い方でも公開できる?
考え方と答えを確かめる
できるとは限りません。許諾・ライセンス・引用など、利用方法に応じた条件を確認します。
理由まで言えたら、下の代表3問へ進みましょう。
CHECK YOUR UNDERSTANDING
代表3問で、確かめよう。
アプリ収録の問題から3問を選定。章内のすべての項目を出題するものではありません。解答・解説はこのページで確認できます。
解答・解説だけ読む
問1:D
個人識別符号とは、その符号だけで特定の個人を識別できる文字や番号などのことです。具体例として、マイナンバー、パスポート番号、免許証番号、基礎年金番号などの公的な番号や、指紋、虹彩、DNAなどの生体情報が含まれます。店舗が独自に発行する使い捨ての整理券番号のように、特定の個人を識別する体系を持たず、購入履歴などの他の情報とも照合できない使い捨ての番号は、個人識別符号には該当しません。他の選択肢はいずれも法的に個人識別符号として定義されています。
問2:B
引用は、著作権法第32条に基づき、許諾なく著作物を利用できる例外の一つですが、厳格な要件があります。同一性保持権があるため、引用する際は原則として内容を勝手に書き換えることはできず、原文のまま引用する必要があります。また、ように、著作物を守り活用していくためには正しい理解が求められ、一般的には「主従関係が明確であること」「引用部分が明確に区別されていること」「出典を明記すること」などが必須条件となります。
問3:D
エコーチェンバー(共鳴室)現象は、閉じた環境で同じ意見が反響し合うことで、特定の考えが強化されることを指します。フィルタバブルが「アルゴリズムによる自動選別」に重点があるのに対し、エコーチェンバーは「コミュニティ内での相互作用による増幅」に重点があります。利用者が「見たいものを見る」という情報デザインの変遷に関連して触れられています。
理解できたら、別の問題でも。
この章の考え方を、条件の違う問題でも確かめましょう。情報1アプリでは分野別の演習と間違えた問題の復習ができます。
無料でアプリを入手 iPhone・iPadはApp Store、AndroidはGoogle Playへ。PCではストアを選べます。運営者が開発するアプリです。各OSの機能と利用条件はストア掲載をご確認ください。説明できたら、この章は完了。
- 「人の情報と作品の権利を分ける」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「使える根拠を確かめる」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「公開後に広がる範囲を考える」の意味と理由を、具体例で説明できる
迷った項目は本文・図解・例題へ戻り、答えを見ずに説明し直してみましょう。
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本サイトの26章は、アプリの分類を用いた補助教材です。検定教科書や公式の章立てではありません。問題と図解は運営者のアプリ教材から選定し、問題ID・選択肢・正答を保持しています。共通テスト過去問の転載ではありません。