この章の学習目標
読み終えたら、できること。
- 「守る性質を特定する」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「攻撃だけでなく事故も考える」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「復旧まで試しておく」の意味と理由を、具体例で説明できる
章内を一度に読まず、見出しごとに例を説明してから先へ進んでも大丈夫です。
この章の目次
WHY / なぜ学ぶ?
身近な「なぜ?」から。
大切な成績データを守るとは、秘密にすることだけでしょうか。改ざんされず、必要なときに開けることも必要です。「誰が何を損なうか」で考えると、対策を名前だけで覚えず、なぜ必要か説明できます。
BIG PICTURE
この章の全体像をつかもう。
守る性質は機密性・完全性・可用性です。それを損なう脅威と、つけ込まれる弱点を調べ、予防・検知・復旧を組み合わせます。技術だけでなく、人の確認手順や運用も含めて考えます。
アプリ教材の単元原図
まず、図で全体像をつかもう。
図の見出しと、下の本文の見出しを対応させて読みましょう。原図には発展事項も含まれます。この章の確認範囲は本文と代表3問です。
アプリ教材の制作原図を加工せず掲載しています。図の文字コードの固定バイト数などは例で、方式により異なります。本文の条件と併せて確認しましょう。本文は2026年10月に整理したWeb用解説です。
THREE KEYS
まず押さえるのは、3つ。
章の細かい用語は、この3つの考え方に結び付けて読み進めましょう。
守る性質を特定する
秘密が漏れる問題と、正しい値が失われる問題では必要な対策が違います。まず被害を言葉にします。
たとえば:無断閲覧は機密性、点数の改ざんは完全性、開けない状態は可用性です。
攻撃だけでなく事故も考える
誤送信や端末紛失、故障でも情報は失われます。更新・権限・教育・保管を組み合わせます。
たとえば:暗号化しても、開いた画面を誤送信すれば漏えいすることがあります。
復旧まで試しておく
バックアップがあることと、使える状態へ戻せることは違います。復元手順とデータの状態を確認します。
たとえば:同期した誤削除が全端末へ広がる場合、過去版の保存も必要になります。
THINK WITH A DIAGRAM
図を読みながら、考え方を追う。
| 困りごと | 性質 | 対策の例 |
|---|---|---|
| 第三者が読む | 機密性 | 権限の限定 |
| 点数が改ざんされる | 完全性 | 変更権限と記録 |
| 故障で使えない | 可用性 | 復旧できるバックアップ |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
1-5-1
情報セキュリティの三要素(CIA)
機密性は許可された人だけが情報に触れられること、完全性は情報が不正に変えられず正しい状態にあること、可用性は必要なときに使えることです。漏えい・改ざん・停止を順に対応させると覚えやすくなります。暗号化は主に機密性、復旧手段は可用性に役立ちますが、対策が複数の要素に関係することもあります。
1-5-2
脅威の種類
脅威には攻撃者による不正アクセスだけでなく、誤送信、紛失、機器故障、災害もあります。脆弱性は、攻撃や事故につながる弱点です。誰が・何を・どのように損なう可能性があるかを考え、発生可能性と被害の大きさから対策の優先度を決めます。
1-5-3
マルウェアの種類と目的
マルウェアは悪意あるソフトウェアの総称です。感染して広がるもの、情報を盗むもの、ファイルを暗号化して金銭を要求するものなどがあります。OSやアプリを更新し、不要な権限を与えず、出所の不明なファイルを実行しないことが基本です。対策ソフトを入れればすべて防げるわけではありません。
1-5-4
フィッシングの仕組み
フィッシングは、本物を装ってIDやパスワードなどを入力させる手口です。ロゴや見た目、鍵マークだけでは正規サイトか判断できません。oを0に置き換えるなど、似た文字でドメインを偽装する手法もあります。急いで操作させる連絡が来たら、メッセージ内のリンクではなく、普段使う公式アプリなどから確認します。
1-5-5
パスワード管理と多要素認証
パスワードはサービスごとに異なるものにし、使い回しを避けます。多要素認証は、知識・所持・生体など異なる種類の要素を組み合わせることです。パスワードと秘密の質問はどちらも知識なので、二段階だから必ず多要素とは限りません。認証コードを第三者に教えないことも大切です。
1-5-6
暗号化の目的
暗号化は、鍵を使って内容をそのまま読めない形に変換することです。復号のための鍵管理が必要で、暗号化したファイルの鍵を同じ公開場所に置けば効果が下がります。暗号化は機密性のための仕組みであり、暗号化してあるだけで送信者の本人確認やデータの正しさがすべて保証されるわけではありません。
1-5-7
バックアップと復旧
バックアップは、障害や誤削除に備えて別のコピーを保管することです。同じ端末だけに置くと、端末の故障で両方失うかもしれません。変更をすぐ反映する同期は、誤削除も反映することがあります。復元できるか試し、復元後のデータが取得時の状態と一致するかも確認します。
重要語句を整理しよう。
| 語句 | 意味 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 機密性 | 許可された人だけが情報に触れられる性質。 | 主に漏えいへの対策。 |
| 完全性 | データが不正に変えられず、正しい状態に保たれる性質。 | 改ざんや破壊への対策。 |
| 可用性 | 必要なときに情報や機能を利用できる性質。 | 停止や故障にも備える。 |
| 脅威 | 損害をもたらし得る原因。 | 攻撃・事故・災害など。 |
| 脆弱性 | 脅威につけ込まれる弱点。 | 脅威そのものと区別。 |
| フィッシング | 本物を装い認証情報などを入力させる手口。 | 見た目や鍵マークだけで判断しない。 |
| 多要素認証 | 異なる種類の認証要素を組み合わせること。 | 二段階の操作すべてが多要素ではない。 |
| バックアップ | 復旧に備え別のコピーを保管すること。 | 同期だけでは誤削除へ備えられない場合がある。 |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
WORKED EXAMPLE
一緒に解く:手順と理由を確かめよう。
成績ファイルを復元できました。これだけで正しい状態に戻ったといえますか。
- 開けることは可用性の確認です。
- 必要な時点のデータか、欠損や書き換えがないかも調べます。
- 取得時の記録や検証情報と照合します。
- 復旧手順と確認結果を記録します。
| 確認 | 性質 | 具体例 |
|---|---|---|
| 開ける | 可用性 | 必要な形式で利用できる |
| 正しい内容 | 完全性 | 取得時の状態と一致する |
| 無断で見られない | 機密性 | 復元後も権限を保つ |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
開けるだけでなく、完全性の確認も必要です。
ここで間違えやすい。
TRY IT YOURSELF
次は、自分の言葉で。
必要な時にデータを使える性質は何?
考え方と答えを確かめる
可用性です。無断で見られない機密性、正しく保つ完全性と区別します。
理由まで言えたら、下の代表3問へ進みましょう。
CHECK YOUR UNDERSTANDING
代表3問で、確かめよう。
アプリ収録の問題から3問を選定。章内のすべての項目を出題するものではありません。解答・解説はこのページで確認できます。
解答・解説だけ読む
問1:C
無線LANの暗号化は、空気中を流れる電波を第三者が傍受しても内容を解読できないようにするための措置です。これは、許可された者だけが情報を理解できるようにする「機密性」を確保するための代表的な技術的対策です。古い暗号方式(WEPなど)は数秒で解読される脆弱性があり、機密性を保てないため、最新の方式を利用することが推奨されます。
問2:C
これはフィッシングの高度な誘導手法の一つで、視覚的に区別が困難な文字の組み合わせを利用してユーザを欺く「同形異義語(ホモグラフ)攻撃」です。直接の用語説明はありませんが、サイバー犯罪の特徴として「匿名性が高い」「なりすましの恐れ」があることが示されており、人間が視覚的にURLを判断する際の隙を突く手法と言えます。なお、バッファオーバフロー攻撃・ブルートフォース攻撃・SQLインジェクション攻撃は、システムやパスワードそのものを技術的に攻撃する手法であり、フィッシングのような偽装による誘導とは異なります。
問3:D
完全性とは「データが改ざんされたり破壊されたりせずに、正しい状態が維持されていること」を指します。復旧したデータが、バックアップ取得時の状態と一致し、欠損や改ざんがないことを確認することは、まさに「完全性」の確保に直結します。可用性は「アクセスできること」自体を指し、機密性は「許可された人のみがアクセスできること」を指します。
理解できたら、別の問題でも。
この章の考え方を、条件の違う問題でも確かめましょう。情報1アプリでは分野別の演習と間違えた問題の復習ができます。
無料でアプリを入手 iPhone・iPadはApp Store、AndroidはGoogle Playへ。PCではストアを選べます。運営者が開発するアプリです。各OSの機能と利用条件はストア掲載をご確認ください。説明できたら、この章は完了。
- 「守る性質を特定する」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「攻撃だけでなく事故も考える」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「復旧まで試しておく」の意味と理由を、具体例で説明できる
迷った項目は本文・図解・例題へ戻り、答えを見ずに説明し直してみましょう。
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本サイトの26章は、アプリの分類を用いた補助教材です。検定教科書や公式の章立てではありません。問題と図解は運営者のアプリ教材から選定し、問題ID・選択肢・正答を保持しています。共通テスト過去問の転載ではありません。