この章の学習目標
読み終えたら、できること。
- 「接続と名前解決を分ける」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「住所と名前を区別する」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「通信の役割を層で整理する」の意味と理由を、具体例で説明できる
章内を一度に読まず、見出しごとに例を説明してから先へ進んでも大丈夫です。
この章の目次
WHY / なぜ学ぶ?
身近な「なぜ?」から。
スマートフォンはWi-Fiにつながっているのに、Webページが開かない。こんなとき、すぐ「Wi-Fiの故障」と考えてよいでしょうか。通信には、身近な接続、宛先を調べる仕組み、ネットワークをまたぐ配送、Webの応答という別々の働きがあります。
BIG PICTURE
この章の全体像をつかもう。
端末がLANにつながり、必要に応じてDNSで名前に対応するIPアドレスを調べ、ルータなどを通してサーバと通信します。データはパケットに分けられます。DNSの応答を得ることと、Webサーバからページが返ることは別の出来事です。途中の機器の名前だけでなく、誰が何を担当するかを見ましょう。
アプリ教材の単元原図
まず、図で全体像をつかもう。
図の見出しと、下の本文の見出しを対応させて読みましょう。原図には発展事項も含まれます。この章の確認範囲は本文と代表3問です。
アプリ教材の制作原図を加工せず掲載しています。図の文字コードの固定バイト数などは例で、方式により異なります。本文の条件と併せて確認しましょう。本文は2026年10月に整理したWeb用解説です。
THREE KEYS
まず押さえるのは、3つ。
章の細かい用語は、この3つの考え方に結び付けて読み進めましょう。
接続と名前解決を分ける
無線の接続に成功しても、外部回線やDNSに問題があればサイトを開けない場合があります。どこまで通信できるかで切り分けます。
たとえば:家のLAN内のプリンタは使えるのに外部サイトは開けないなら、LANの外の接続なども調べます。
住所と名前を区別する
IPアドレスは通信の配送などに使う番号、ドメイン名は人が指定しやすい名前です。DNSが対応する情報を返します。
たとえば:example.comという名前の問い合わせ結果と、その宛先へのWebの要求は別です。
通信の役割を層で整理する
HTTPはWebのやり取り、TCPは信頼性のある転送、IPはパケット配送というように分担します。1つの用語で通信全部を説明しません。
たとえば:IPが担当する層を問われたら、HTTPのアプリケーション層と混ぜないようにします。
THINK WITH A DIAGRAM
図を読みながら、考え方を追う。
| 働き | 担当 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 名前を調べる | DNS | Web本文の取得と別 |
| ネットワークをまたぐ | ルータ・IP | LAN内の中継だけとは別 |
| 信頼性を高める | TCP | すべてをルータの仕事にしない |
| Webの要求・応答 | HTTP | HTTPSではTLSによる保護も使う |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
4-1-1
LANとWAN
LANは学校や家庭など限られた範囲のネットワーク、WANは離れた拠点などを広域につなぐネットワークとして考えます。無線だからWANになるわけではありません。WANの構築では通信事業者のサービスを利用することが一般的です。Wi-Fiへの接続と、その先のインターネットへの接続も分けて考えましょう。
4-1-2
パケット通信
パケット通信ではデータを小分けにし、宛先などの情報を付けて送ります。複数の通信で回線を共有しやすくなりますが、順序の入れ替わりや紛失が起こる場合があります。TCPは到着確認や再送などで信頼性を高め、IPは宛先のネットワークへ配送する役割を担います。
4-1-3
IPアドレス
IPアドレスはIP通信で機器の接続先などを識別するために使います。IPv4は32ビット、IPv6は128ビットです。グローバルアドレスとプライベートアドレスを区別し、家庭内の同じ番号を別の家庭でも使える場合があることを押さえます。機器の識別に使うMACアドレスとは役割が違います。
4-1-4
DNS
DNSはドメイン名などから対応する情報を調べる仕組みで、WebではIPアドレスを調べるときに使われます。ドメイン名は右側ほど上位の階層です。キャッシュに情報がなければ、問い合わせを受けたリゾルバが必要に応じて階層をたどります。利用者の端末が毎回すべてのDNSサーバへ直接問い合わせるわけではありません。
4-1-5
ルータとスイッチ
スイッチはLAN内の機器をつなぎ、ルータは異なるIPネットワーク間でパケットを中継します。無線アクセスポイントは無線端末をLANにつなぎます。家庭用Wi-Fiルータには複数の機能がまとめられていることがあるため、外見ではなく働きに注目しましょう。
4-1-6
クライアント/サーバモデル
クライアントはサービスを要求し、サーバは要求に応じて処理や応答を返します。ブラウザがWebページを要求し、Webサーバが応答する例で考えられます。サーバは必ず巨大な専用機でなければならないわけではなく、クライアントとサーバは役割を表す言葉です。
4-1-7
プロトコル
プロトコルは通信の取り決めです。TCP/IPの4層モデルではアプリケーション層、トランスポート層、インターネット層、ネットワークインタフェース層に役割を分けます。HTTPやDNS、TCPやUDP、IP、Ethernetなどは担当が異なります。通信が失敗したときも、物理接続と名前解決を分けて調べると原因を絞れます。
重要語句を整理しよう。
| 語句 | 意味 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| LAN | 家庭や学校などの限られた範囲のネットワーク。 | 無線もLANを構成する。 |
| WAN | 離れた拠点などを広域につなぐネットワーク。 | 距離の数字だけで機械的に区切らない。 |
| パケット | 通信のために小分けにしたデータの単位。 | 宛先などの制御情報も付く。 |
| IPアドレス | IP通信で接続先などを識別する番号。 | ドメイン名やMACアドレスとは役割が違う。 |
| DNS | ドメイン名に対応するIPアドレスなどを調べる仕組み。 | Web本文を返すサービスではない。 |
| ルータ | 異なるIPネットワーク間でパケットを中継する機器。 | LAN内をつなぐスイッチと区別。 |
| TCP | 到着確認や再送などで信頼性のある転送を提供するプロトコル。 | IPの配送とは担当が異なる。 |
| クライアント | サービスを要求する側の役割。 | サーバは要求を処理して応答する側。 |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
WORKED EXAMPLE
一緒に解く:手順と理由を確かめよう。
学校のLAN内プリンタは使えますが、外のWebサイトをどれも開けません。「端末のWi-Fiが切れている」と断定できますか。
- プリンタが使えるため、少なくともその通信に必要なLAN内の経路は動いています。
- 外部回線やDNS、端末の設定など、別の原因も考えられます。
- 他の端末でも同じかを調べると、端末固有か共有部分かを絞れます。
- 接続・名前解決・Web通信を順に分け、原因を断定せず確認します。
| 確認できた事実 | 分かること | まだ不明なこと |
|---|---|---|
| LAN内印刷は成功 | その通信に必要な経路は動く | 外部回線やDNSの状態 |
| 他端末でも外部Web不可 | 共有部分の問題も候補 | 正確な障害箇所 |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
断定できません。確認できた事実と、まだ調べていない部分を分けます。
ここで間違えやすい。
TRY IT YOURSELF
次は、自分の言葉で。
ドメイン名からIPアドレスなどの情報を調べる仕組みは?
考え方と答えを確かめる
DNSです。Web本文を返すサーバとの通信とは別の役割です。
理由まで言えたら、下の代表3問へ進みましょう。
CHECK YOUR UNDERSTANDING
代表3問で、確かめよう。
アプリ収録の問題から3問を選定。章内のすべての項目を出題するものではありません。解答・解説はこのページで確認できます。
解答・解説だけ読む
問1:D
WAN は自前でケーブルを敷設できない距離を結ぶため、NTT や KDDI といった通信事業者が提供する公衆回線や専用線のサービスを契約して利用します。したがって構築には事業者との契約が不可欠です。数百キロにわたって自らケーブルを敷くことは現実的でなく、ハブをルータに置き換えるだけでは離れた拠点はつながりません。また長距離通信ではデジタル信号として送るのが一般的です。
問2:A
DNSは分散型のデータベースであり、ドメイン名の階層構造(ルート、トップレベルドメイン、セカンドレベルドメインなど)に従って、複数のサーバが連携して管理されています。名前解決の際は、ルートサーバから順に下位の階層を管理するサーバへ辿っていくプロセスが一般的です。ドメイン名の表記は、右側(.jpなど)が上位階層、左側が下位の組織やホスト名を表します。一括管理ではなく分散管理することで、負荷を抑え信頼性を高めています。
問3:A
TCPはトランスポート層に属するプロトコルであると示されています。トランスポート層の役割は、アプリケーション間の通信を管理し、必要に応じて再送制御などを行うことでデータの信頼性を担保することです。電波をビット列に変換して隣接機器へ転送するのはネットワークインタフェース層、IPアドレスで経路を選択するのはインターネット層、ブラウザの要求に応じてHTMLを返すのはアプリケーション層の役割です。
理解できたら、別の問題でも。
この章の考え方を、条件の違う問題でも確かめましょう。情報1アプリでは分野別の演習と間違えた問題の復習ができます。
無料でアプリを入手 iPhone・iPadはApp Store、AndroidはGoogle Playへ。PCではストアを選べます。運営者が開発するアプリです。各OSの機能と利用条件はストア掲載をご確認ください。説明できたら、この章は完了。
- 「接続と名前解決を分ける」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「住所と名前を区別する」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「通信の役割を層で整理する」の意味と理由を、具体例で説明できる
迷った項目は本文・図解・例題へ戻り、答えを見ずに説明し直してみましょう。
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本サイトの26章は、アプリの分類を用いた補助教材です。検定教科書や公式の章立てではありません。問題と図解は運営者のアプリ教材から選定し、問題ID・選択肢・正答を保持しています。共通テスト過去問の転載ではありません。