この章の学習目標
読み終えたら、できること。
- 「通信の保護と内容の信頼を分ける」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「本人確認と権限を分ける」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「記録を守って運用する」の意味と理由を、具体例で説明できる
章内を一度に読まず、見出しごとに例を説明してから先へ進んでも大丈夫です。
この章の目次
WHY / なぜ学ぶ?
身近な「なぜ?」から。
鍵マークのあるWebサイトなら、書いてある内容も安全でしょうか。HTTPSが守るのは主に通信です。一方、本人確認や操作権限、ログの管理は別の役割です。「安全」という言葉を分解して考えましょう。
BIG PICTURE
この章の全体像をつかもう。
TLSで通信を保護し、証明書などで接続先を確認します。利用者については認証で本人かを確かめ、アクセス制御でできる操作を決めます。ログは後から起きたことを調べる手掛かりです。
アプリ教材の単元原図
まず、図で全体像をつかもう。
図の見出しと、下の本文の見出しを対応させて読みましょう。原図には発展事項も含まれます。この章の確認範囲は本文と代表3問です。
アプリ教材の制作原図を加工せず掲載しています。図の文字コードの固定バイト数などは例で、方式により異なります。本文の条件と併せて確認しましょう。本文は2026年10月に整理したWeb用解説です。
THREE KEYS
まず押さえるのは、3つ。
章の細かい用語は、この3つの考え方に結び付けて読み進めましょう。
通信の保護と内容の信頼を分ける
HTTPSは経路の盗聴や改ざんへの対策に役立ちますが、サイトの説明や商品まで正しいとは限りません。
たとえば:偽のサイトでもHTTPSを使う場合があります。URLや運営情報も確認します。
本人確認と権限を分ける
ログインできても、すべてを編集してよいわけではありません。
たとえば:生徒は自分の結果だけを閲覧し、管理者だけが設定を変更するなどの区別です。
記録を守って運用する
ログも改ざんや漏えいの対象になります。保存期間・閲覧権限・時刻の整合を考えます。
たとえば:誰がいつ確認するかを手順にし、必要な期間保管します。
THINK WITH A DIAGRAM
図を読みながら、考え方を追う。
| 問い | 仕組み | 例 |
|---|---|---|
| 誰か | 認証 | パスワード+所持要素 |
| 何ができるか | アクセス制御 | 閲覧だけ/編集も可能 |
| 何が起きたか | ログ | 日時・対象・操作の記録 |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
4-2-1
HTTPS
HTTPSはHTTPの通信をTLSで保護する仕組みです。通信内容の暗号化、改ざんの検知、証明書による接続先の確認に役立ちます。ただし、鍵マークはサイトの情報や商品がすべて正しいという保証ではありません。URLの確認も必要で、HTTPSは通信速度の制限を自動的に回避する仕組みでもありません。
4-2-2
公開鍵暗号
公開鍵暗号は、対になる公開鍵と秘密鍵を使います。機密性を守る暗号化の例では、受信者の公開鍵で暗号化し、受信者の秘密鍵で復号します。デジタル署名では秘密鍵で署名し、公開鍵で検証します。署名を単に「暗号化の逆向き」とだけ覚えず、目的を区別しましょう。
4-2-3
認証とアクセス制御
認証は本人かどうかの確認、アクセス制御は何をしてよいかの管理です。パスワードは知識情報、カードや認証用トークンは所持情報、指紋は生体情報です。閲覧権限があるから編集権限もあるとは限りません。必要な権限だけを与え、不要になった権限は見直します。
4-2-4
ログ管理
ログは、いつ・何が行われたかなどの記録です。不具合の調査や不正な操作の追跡に使えますが、ログがあるだけで必ず操作者を証明できるわけではありません。本人確認の仕組み、時刻の正確さ、ログの改ざん対策も必要です。記録には個人に関係する情報が含まれる場合があり、閲覧権限や保存期間を決めます。
重要語句を整理しよう。
| 語句 | 意味 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| HTTPS | HTTPの通信をTLSで保護する仕組み。 | コンテンツ全体の正しさの保証ではない。 |
| TLS | 通信の暗号化や改ざん検知などに使うプロトコル。 | 古いSSLという呼び方と区別して現行方式を確認。 |
| 公開鍵 | 相手へ公開できる、秘密鍵と対の鍵。 | 使う目的により暗号化や署名検証に使う。 |
| 秘密鍵 | 本人が秘密に保つ鍵。 | 公開してはならない。 |
| 認証 | 本人かどうかを確認すること。 | 操作の許可を決める認可と区別。 |
| アクセス制御 | 誰に何を許すかを管理すること。 | 最小限の権限を考える。 |
| ログ | 操作や状態などの記録。 | 記録があるだけで本人が完全に証明されるわけではない。 |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
WORKED EXAMPLE
一緒に解く:手順と理由を確かめよう。
生徒用IDでログインできました。成績の設定画面を編集してよいでしょうか。
- ログインは本人確認の段階です。
- 編集できるかは役割に与えられた権限によります。
- 生徒用なら不要な編集権限を与えない設計にします。
- 操作の記録も適切に保管します。
| 段階 | 確認すること | 例 |
|---|---|---|
| 認証 | 本人か | 生徒IDでログイン |
| 権限 | 操作してよいか | 自分の結果を閲覧 |
| ログ | 何を行ったか | アクセスの日時を記録 |
表が収まらない場合は横にスクロールできます。
認証の成功だけで編集権限があるとはいえません。
ここで間違えやすい。
TRY IT YOURSELF
次は、自分の言葉で。
閲覧できる利用者は、必ず編集もできる?
考え方と答えを確かめる
できるとは限りません。閲覧と編集は異なる権限として管理します。
理由まで言えたら、下の代表3問へ進みましょう。
CHECK YOUR UNDERSTANDING
代表3問で、確かめよう。
アプリ収録の問題から3問を選定。章内のすべての項目を出題するものではありません。解答・解説はこのページで確認できます。
解答・解説だけ読む
問1:D
HTTPSの主な役割は、情報の「機密性(盗聴防止)」「完全性(改ざん検知)」「真正性(なりすまし防止)」を確保することにあります。暗号化や証明書の検証プロセスが必要になるため、HTTPと比較して計算負荷や通信のやり取りが増える傾向にあり、通信速度を高速化したり帯域制限を回避したりする機能はありません。
問2:A
認証の3要素において、「所持情報」は本人が持っている物理的な物体やデバイスを指します。キャッシュカード(A)やワンタイムパスワードのトークン(C)はこれに該当します。指紋(B)は「生体情報」、秘密の質問(D)は「知識情報」に分類されます。これらを組み合わせることで多要素認証が実現されます。
問3:B
セキュリティポリシーは「基本方針」と「対策基準」で構成され、具体的な「実施手順」を含めて組織全体で運用する必要があります。また、状況は常に変化するため「情報セキュリティポリシーは常に評価・見直しを続ける必要がある」と明記されています。基本方針に技術的な詳細まで含めるとする記述は誤りで、詳細は実施手順に記します。対策基準にのみ記載すればよく周知は不要とする記述も、構成員への教育が必要なため誤りです。一度定めた手順を変更しないとする記述も、状況の変化に応じた見直しが必要なため誤りです。
理解できたら、別の問題でも。
この章の考え方を、条件の違う問題でも確かめましょう。情報1アプリでは分野別の演習と間違えた問題の復習ができます。
無料でアプリを入手 iPhone・iPadはApp Store、AndroidはGoogle Playへ。PCではストアを選べます。運営者が開発するアプリです。各OSの機能と利用条件はストア掲載をご確認ください。説明できたら、この章は完了。
- 「通信の保護と内容の信頼を分ける」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「本人確認と権限を分ける」の意味と理由を、具体例で説明できる
- 「記録を守って運用する」の意味と理由を、具体例で説明できる
迷った項目は本文・図解・例題へ戻り、答えを見ずに説明し直してみましょう。
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